お子さんの歯の矯正前に知っておくと良いこと5つ

お子さんの歯の矯正前に知っておくと良いこと5つ

「子供の歯並びを見て矯正治療を考えている」「お子さんが矯正をやりたいと言い始めた」あるいは「歯医者さんに矯正をすすめられて考え始めた」など、矯正治療を始めるきっかけは様々だと思います。
そこで今回は、歯医者がお伝えする矯正をする前に知っておくと良いこと5つです。

まず、矯正治療とは何?

矯正治療とは、いろいろな矯正装置を使用して、歯を健康な状態で正常な位置に移動させ、正しい噛み合わせにすることです。また健康美にあふれる自然な笑顔を手にすることができます。なぜ、正しい噛み合わせにすることが大切かというと、歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすく、噛む力が弱くなってしまうからです。また、発音が悪くなることや骨格に問題が出やすくなるなど、身体面にも影響が出ます。

その他にも、保護者の方やお子さん自身が一番気にされるのは、やはり「見た目」だと思います。思春期になると「見た目」がコンプレックスになり、対人関係に悩む場合もありますので、早めに矯正治療を行うことは大切です。

では、矯正治療を考え始めた時に知っておくと良いことを5つのポイントでご紹介いたします。

1. 矯正専門医・認定医に相談する

お子さんの歯の矯正前に知っておくと良いこと5つ

矯正治療の考え方は歯科医によって異なります。そこで目安になるのが「矯正専門医・認定医」という存在です。歯科医師になってから矯正を専門に診察・治療にあたらないと取得できない資格ですので、症例の多さや経験数は豊富にあります。保護者の方やお子さん自身の疑問や不安に的確に応えてくれる頼もしい存在です。大切なお子さんのためにも「矯正専門医・認定医」の歯科医師に相談されることをオススメします。

2.治療期間は1〜4年と長い

矯正治療は症状にもよりますが、早くて「1年」、長いと「3〜4年(保定を含む場合 ※経過観察期間)」と長期に渡ります。お子さんに「もう外したい」と言われ、途中で治療を止めると余計に歯並びが悪くなる可能性もあります。そのため、治療期間は長くなると予めご理解いただき、お子さんとよく話し合われることが大切です。また、通院は概ねひと月から二月に1度程度が多いです。

小学生のあいだは、混合歯列期といって、乳歯と永久歯が混在する時期です。この場合は、取り外し式の装置を使用することが多いです。ご自宅で装着していただく時間を毎日守れることが、前提ですけれども、それをたびたび忘れてしまうことや怠けてしまうと回数が増える場合もあります。
歯が移動するスピードには個人差がありますので、余裕をもって期間をみておいていただいたほうがいいですね。

▶︎乳歯と永久歯の生え変わり時期や順番についてチェック
「乳歯の生える時期・永久歯への生え変わり時期や順番は?」

3.虫歯にさせない

お子さんの歯の矯正前に知っておくと良いこと5つ

矯正治療を始める前にしっかり虫歯を治療するのは当たり前ですが、固定式装置をつけた場合は、歯磨きしにくくなるため虫歯になりやすくなります。矯正を始める前にきちんと歯科医や歯科衛生士に歯の磨き方を教えてもらい、お子さんの歯磨きには十分注意してあげてください。
もし、矯正治療中に虫歯になった場合も心配はありません。早期発見により直接治療が出来る場合は、そのまま治療を行います。

また、装置のそばや、歯と歯のあいだに虫歯ができた場合は、一時的に装置を外して治療を行うこともあります。残念ながらプラークコントロールができない場合は矯正治療を中止して、歯牙の再石灰化を待つこともあります。

4.原則、健康保険が使えない自由診療である

矯正治療は原則、自由診療になりますので、歯科医院により治療費が異なる場合が多いです。どのくらい金額が掛かるのかをしっかりとご確認ください。相談料、検査料、矯正装置料(固定式・とりはずし式)、毎月の調整料などが治療費になります。治療費の支払い方法も様々ですので、気になるところは質問をしてみましょう。ちなみに、矯正治療費は確定申告をして医療費控除を受けることができます。

▶︎医療費控除についてチェック
「歯医者の治療費(矯正・インプラントなど)は医療費控除できるの?」

5.矯正装置は一つだけではない

矯正装置には「取り外したりできるもの」「固定式(歯についたままの装置)」「顔(あご)や頭に装置をつけたりするもの」など様々な種類があり、必要に応じてそれらの装置を使用します。

①取り外しできるもの

一日何時間以上装着すると決められているので、その時間を守って使用しないと効果が出ずに治療期間が長くなることがあります。また失くしてしまう心配もあるために学校に持っていくのはおすすめしません。夜間の就寝時に装着していただくことがほとんどです
透明なマウスピースを順次交換していくものもあります。頻回にマウスピースを交換しますので、費用もかかります。

②固定式(歯につけたままの装置)

歯にブラケットという装置を接着して、形状記憶合金のワイヤーを通して望ましい歯列に並べます。表につける場合や裏側につける場合などがあります。歯が動いていく拠点となる歯にはバンドという金属のフレームを帯環して一時的に固定します。近年では、矯正装置が目立たないものも増えました。セラミックやプラスティック製のものや、逆転の発想でカラフルなゴムで色を楽しむことなどもできます。

③顔(あご)や頭に装置をつけたりするもの

反対咬合といって、下顎のほうが上顎よりも大きいような場合は、骨格的にも移動が必要になります。程度が強い場合は、健康保険が適応になるケースもあります。下顎の先端を頤(おとがい)といいます。英語では「Chin:チン」と言いますので、チンキャップというカバーをその頤につけるのです。

その逆で、上顎のほうが大きい場合は、歯を移動させる固定源をあたまにバンドをまくような装置を用います。こちらは「Headgear:ヘッドギア」といいます。ラグビーやボクシングの選手でおなじみですが、頭部を保護するようなものではなくって、固定源のためなので、それほど厚みはありません。

まとめ

お子さんが矯正治療を始められるのは、そのほとんどが保護者の方の希望が多いです。そのため、お子さんは矯正をする意味がよくわからないまま始めて、途中で嫌になってしまったり、飽きてきたりすることがあります。ご家庭で、矯正することについてよく話合うことはとても重要です。保護者の方もわからないことは歯科医院に相談していただき、スムーズな矯正治療を行っていただければと思います。

以上、歯医者がお伝えする「お子さんの歯の矯正前に知っておくと良いこと5つ」でした。